登録政治資金監査人による政治資金監査のあり方に関する要望について 2024/3/29
https://www.blogger.com/blog/post/edit/2382354060995456300/5976486403786492037
登録政治資金監査人による政治資金監査のあり方に関する要望について
2024年3月29日お知らせ 日本税理士会連合会では、実務家として税理士の視点でより実効性のある監査を実現するため、「登録政治資金監査人による政治資金監査のあり方に関する要望」を取りまとめました。
登録政治資金監査人による政治資金監査のあり方に関する要望(令和6年3月26日)
登録政治資金監査人による政治資金監査のあり方に関する要望
令和6年3月 26 日日本税理士会連合会
以下PDFtext
はじめに
政治資金規正法により、国会議員関係政治団体は政治資金適正化委員会が行う研修を修了した「登録政治資金監査人」による政治資金監査を受けることが義務付けられている。これは、登録政治資金監査人の監査により当該政治団体の収支報告の適正性の確保に寄与し、ひいては、政治活動の公明性・公正性を高め、民主政治の健全な発達に資することを目的とするものである。税理士は、この登録政治資金監査人の有資格者であり、登録者全体の7割以上を占めている。
かかる状況の下、登録政治資金監査人による政治資金監査に関し、実務家としての税理士の視点でより実効性のある監査を実現するため、以下4つの観点から同監査のあり方について要望を取りまとめた。
1.登録政治資金監査人による政治資金監査の対象について
政治資金規正法においては、第 19 条の7に定める国会議員関係政治団体が登録政治資金監査人による政治資金監査の対象となっているところ、国会議員関係政治団体以外の政治団体についても、例えば政治資金パーティーを開催する規模の派閥や政党の東京都連合会・大阪府支部連合会など、国会議員関係政治団体と同程度の収支が見込まれる政治団体が一定数存在している。
これらの政治団体における政治資金の使途について、収入が政党交付金に限定されていれば、政党助成法第 19 条第2項により公認会計士又は監査法人による監査を受けることとなるため、その適正性は明らかなものとなるが、個人・会社等からの寄附金等も収入に含まれる場合、当該収支について外部の専門家による監査を義務付ける法規定がなく、国民から疑念を持たれかねない。
ついては、政治資金規正法の目的に立ち返り、政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるものとしてあらゆる政治資金の収支を明らかにし、国民に判断を委ねるため、政治団体以外の団体から政治活動に関する寄附を受けられる政治団体や政治資金パーティーを開催する政治団体に対しても登録政治資金監査人による政治資金監査を義務付けるべきである。
2.政治資金監査における監査範囲及び監査方法等について
国会議員関係政治団体の会計責任者には、会計帳簿を備え、これに当該国会議員関係政治団体に係るすべての収入、支出及び金銭等の運用について、所定の事項を記載することや、すべての支出について、当該支出の目的、金額及び年月日を記載した領収書その他の支出を証すべき書面を徴することが課されている。
これに対し、登録政治資金監査人は、第三者に対する調査や資料要求を行う権限を付与されていないことから、もっぱら会計責任者の責任において作成、提出された資料及び会計責任者の説明に基づき、支出の状況を確認することが期待されている。すなわち、政治資金監査は、外部性を有する第三者が国会議員関係政治団体のすべての支出をチェックする制度であり、また、会計事務に対する外形的・定型的な監査を行うもので、収入については政治資金監査の範囲に含まれていない。このことは、総務省政治資金適正化委員会の公表する「政治資金監査に関する具体的な指針」及び「政治資金監査に関する Q&A」にも明記されている。しかし、実態として政治団体には、政治資金パーティーの開催等により相当額の 収入が発生しており、不記載収入の問題も生じている。より適正な監査の実施及び政治資金の透明化を図るために、政治資金監査の範囲に収入も含めることを検討
すべきである。
その際、監査手続の実効性を高めるためにも、会計事務の運用について、①現金の受取を確認する証左として、現金受取時の領収書の発行及び控えの保管並びに現金出納帳の作成及び記帳を義務付けること、②政治団体において作成する会計帳簿は、現行の単式簿記による記帳ではなく、複式簿記による記帳とすること、③寄附者の適法性(寄附を禁止されている者・団体ではないこと)については、寄附
(入金)をもって当該者が寄附等の制限を受ける者に該当しないことを自己宣誓したものとみなすよう申込時に通知すること、を併せて変更することがより望ましい。
上記2(1)により政治資金監査における監査範囲が拡大された場合には、登録政治資金監査人による監査の重要性や作業負担が増すこととなる。相互監視による
健全性、公正性並びに信頼性の確保及び登録政治資金監査人の負担軽減を図るため、共同監査を義務付けることを検討すべきである。
3.登録政治資金監査人の独立性の確保について
政党交付金については、その使途等報告書において公認会計士又は監査法人による監査が義務付けられているが、加えて当該監査のローテーション(継続監査期間の上限7年、最短インターバル2年)も定められている。政治資金監査においても、登録政治資金監査人の被監査団体からの独立性を確保するため、同一の政治団体に対して同一の登録政治資金監査人が継続して監査を行う場合、その就任期間に上限を設けるべきである。
4.登録政治資金監査人の就任等に係る諸整備について
正当な根拠に基づかない低廉な報酬の提示及び請求は一定の水準の専門業務を実施することが困難となることが考えられることから、職業的専門家としての能力及び正当な注意の原則の阻害要因を生じさせる可能性がある。一方で、過度な報酬は、公正性の原則を阻害する要因となる可能性がある。
監査という業務の性質に鑑みて、報酬に関する指針を示すべきである。
政治団体による登録政治資金監査人の選定にあたっては、客観性の高い手続をとることで、より透明性と公平性が示されるものと考える。政治団体が登録政治資金監査人に政治資金監査を依頼する場合、ホームページ等により一定期間公募を行った後に選定することとするなど、そのスキームを明らかにすべきである。
登録政治資金監査人の登録継続の意思を明確にし、加えて定期的な研修受講を義務付けることで、登録政治資金監査人の質の維持及び向上を図るべきである。
//////////
Comments
Post a Comment